「じゃあな。気を付けて帰れよ」

「うん」


ヒロキは帰り、駅まで送ってくれた。

繋いでいた手を離す。


せっかく想いが通じたのに、また離れ離れになっちゃうんだね。

あたしの顔は自然に下を向く。


その時、ヒロキが勢いよくあたしを抱きしめた。


「ヒロキ…?」


あたしはヒロキの名前を呼ぶ。

あたしの目の前にはヒロキの胸。


「ああーもう、離れたくねぇよ!」

「ヒロ…キ…?」


いきなり大声を出すヒロキ。


「また…離れ離れになるんだな」


切なそうな声でヒロキは言った。


「…うん」


あたしの声も自然に小さくなる。

ヒロキと…離れたくないよ…


「会いに行く。もうすぐ夏休みだろ? 絶対に会いに行くからな」

「…うん。待ってる」


あたしはヒロキの腕の中で小さく呟いた。