「あの、安達ナオと言いますっ。ヒロキ君いらっしゃいますか?」
ドキドキしながら問いかけた。
その人は優しく笑うと、あたしを家に招き入れた。
「ヒロキのお友達? どうぞどうぞ、上がって」
あたしは遠慮したけど、ヒロキの母親の誘いに負けて中へと入った。
「もしかして、前の学校の子かしら?」
リビングでお茶を出しながら母親が問いかけた。
あたしは戸惑いながらも頷いた。
どうして分かったんだろう?
「やっぱりね。イントネーションがこっちと違うもの。わざわざ来てくれてありがとね」
優しそうに笑う母親は、本当にヒロキにそっくりで。
その優しさも、笑顔も、しぐさだって少し似てる。
「ヒロキ呼んでくるからちょっと待っててね」
そう言って母親は奥へと入った。
これからヒロキに会えるんだ。