“運命の赤い糸”

川の中に右足を入れた瞬間、ありえないほどの寒さが体中に伝わった。


けれど、あたしはその川を渡らなければいけない。

そう思って左足を踏みだそうとした瞬間。



「ナオっ!!」


後ろから、あたしを呼ぶ声がした。


あたしは振り返った。

濃い霧のせいで、何も見えない。


けれど、あの声は‥‥

紛れもなくヒロキの声だった。