「それだけの理由か?」

「ううん‥まだあるわ」


さっきのでも充分ひどいのに、まだ理由があるという。


「ヒロキに別れたい理由を聞いたら“安達ナオが好きだから”って言ったのよ。ヒロキと安達ナオは両想い。当然2人は付き合うでしょ?そうさせたくなかった」

「なんでだよ‥?」


サクラはヒロキを“オモチャ”として見てる。

それならヒロキが誰と付き合おうと関係ないはずだ。


「ヒロキが幸せになるのが許せない。あたしのプライドをズタズタにして、笑ってるヒロキを想像するだけで許せなかったのよ」


怒りで顔を歪ませるサクラ。

けれど次の瞬間にはまた、笑いに変わった。


「だから父親に頼んで、ヒロキを家族ごと遠くに飛ばしたの。もう二度とこの町に戻ってこれないようにね」