「お母さん…?」
「バカ! なんでもっと早く言わないのよ!
ナオが苦しんでるのに、何もしてあげられないなんて、お母さん嫌よ!」
「お母さん…」
あたしを抱きしめながら涙を流す母。
あたしのために、こうやって怒ってくれて、悔しがってくれて。
あたし、お母さんの子で良かった。
「何かあったら、お母さんに言いなさい。いつでも助けてあげるから」
あたしの肩に手を置いて言う母。
あたしは嬉しくて、何度も何度も頷いた。
「お母さん…このことお父さんには言わないで?」
「えっ? どうして…」
「お父さんのことだから、絶対に学校に言う。そんなことしたら、サクラのことだから、絶対に何かされるよっ」
あたしは下を向きながら一気に言った。
元彼を転校に追い込んだサクラ。
あたしは絶対にそんなことじゃ済まない。

