「モモちゃん、わたし 相田 忍《アイダ シノ》よろしくね」
休み時間になり、てっちゃんの居なくなった教室は、野生の王国と化していた。
そんな中わたしに声を掛けてきたのは、タマキちゃんの他に唯一の女の子である彼女だった。
「忍ちゃん?…モモです、こちらこそよろしく」
忍ちゃんは、ショートカットの活発そうな女の子。
「このクラスね、タマキとわたしだけだったんだぁ…だから嬉しい!」
エヘヘと笑った忍ちゃんは、八重歯が印象的だ。
「他のクラスにも女子はいるけど…少ないよ?
元々男子校だったからねここ…って知ってるかぁ…まーあんなナリしてるけどみんないいヤツらだからさ…
仲良くしてやってよ、ね?」
教室を見渡して、忍ちゃんは笑ってそう言った。



