「うっわぁ。酷い顔…」

朝起きて鏡の前に立つと、まぶたを重たそうにしている自分がいた。



「腫れたときは冷やすといいんだっけ…」


そう沙月は言って、キッチンへ急ぐ。


冷蔵庫から保冷剤を引っ張り出し、まぶたを冷やす。


「沙月…。本当に大丈夫?」


心配そうにお母さんは沙月の顔を覗き込む。


「大丈夫だから…。」


正直、泣いた後の顔を見られたくない。


「何もないし…。」

ウソをついて、ふいっとそっぽを向く。