坂岡 キリ。18歳。

幼さが多少残るが決して童顔とは言えない綺麗な顔立ちをしている。
ぱっちりな二重の目に整った鼻、女性らしい弾力のありそうな唇。

そんな整った顔に化粧を軽く施し、

腰まである黒髪を緩く束ねると
ワイシャツに手を伸ばす。


高校3年になって2か月、
独りになって1か月と少し。

時折襲う酷い孤独感以外は
幾分か慣れてきた。
慣れって怖い…

ふぅ、とため息を漏らしながら
着替えを進め支度をする。


―その時。


―ピ ンポー ン―


「!…え、なに…?」

今のチャイム音。
曇りがかった、不透明な音。
こんなの、私の家のチャイム音ではない。
でも確かにこの部屋に響き渡った。


忍び足で恐る恐る玄関に近づく。

なんだか怖い。
正体の分からない怖さが襲う。
だけど、私以外もう頼れる人居ないんだから…

意を決して玄関ドアの覗き穴から向こうの景色を覗きこむ。