その時、

「失礼する!!」


「―!」

いきなり大きな声が響き渡り、
辺りがざわつく。
私は驚いて後ろを振り返ると
ぼろぼろになった兵士が
かがんでいた。

「我が兵士がブラッダンに
攻撃を受けた模様!!」

「へ、いか………ブラッ……が……だ…」


ざわつく周りのせいで息が
絶え絶えな兵士の言葉が聞こえない。

「…………ほらな。」

ポツリ、悲しげな声で陛下は呟く。

「え…」

その声に惹かれるように
陛下を見上げると、陛下は
ダンッ!!と立ち上がった。

「静まれ。煩い。」

先程呟いたときの悲しい声とは違い、
酷く冷たい声が部屋に響き渡った。


「へ…か………もうしわ…け…」

「黙れ。」


息も絶え絶えな兵士に
陛下は顔色変えずそう言い放つ。


カッチーン


「ちょっと、そんな言い方ないでしょ」


「………お前が原因だろ」

「はあ!?知らないわよ!陛下なら、国民の上に立つ人ならもう少し兵士とか大切にしなさいよ!」

「煩い女だ。」


キ~~ッ!
ムカつく男っ!

ギリリ、と歯ぎしりをすると
くるっと陛下に背を向け、
兵士の元に歩み寄る。