「裕也っ!!」
「中村、よく言った。なぁ木花、お前はバカだなぁ。お前の思考なんてバレッバレなんだよ。オレの権力目当てに近づいてくる女なんていっぱいいたからな。」
そう言う裕也の横顔は、上から目線のえらそうな顔だったけど、どこか悲しさも含まれていた。
裕也は、咲耶ちゃんに近づくと、顎を持ち上げ、囁くように言った。
「二度とオレに近づくんじゃねぇ。もしも、性懲りもなく近づいてきたら、もう日本にはいられないようにしてやるよ。」
咲耶ちゃんは地面に座り込んでしまった。
裕也はこちらへと振り返り、清々しい笑顔で歩いてくる。
「ほら行くぞ。皐月、伊吹、中村。リレー始まっちまう」
はーい、と皐月と伊吹は素直について行った。
でも私は、まだ咲耶ちゃんに言いたいことがあって…
「…咲耶ちゃん」
「なによっ!?バカにでもする気!?」
「そんなことしないよ。
ちょっと私の話をよく、聞いてね。
もし、咲耶ちゃんが裕也のことを権力とか関係なく好きになってたら、裕也も好きになったと思うよ。
私だってね、今日、初めて知ったの。
言ってくれなかったってことは、一番いやなんだろうね。
家のことを言われるのが。
だからさ、今度または、裕也の親とか全部忘れて会おうよ。
そしたら、裕也だって許してくれるよ、きっと。」
ね?約束、と言って勝手に咲耶ちゃんの小指を使って、指切りげんまんをした。
「…あんたって変な女ね」
ぼそっと呟くように言う咲耶ちゃんの顔は、心なしか少し晴れ晴れしていた。
「褒め言葉、どうもありがとう」
私はにっと笑うと、みんなが呼んでるところへ帰った。

