「咲耶ちゃーん。もう理玖たちが出るサッカー、始まっちゃうよ?」
「ちょっと待って下さい。大事な話があるんです」
野球のあとのテニスが終わった途端、咲耶ちゃんに校舎の裏に連れ込まれた。
校舎の裏は、日陰で薄暗い。
盛り上がっている校庭のほうに目を向けると、全然違う世界に見えた。
強い風が吹き、砂埃が舞う。
涼しいけど、砂が体に纏わりついて気持ち悪い。
「美桜ちゃん、私、あしたはもうこの学校にいないんです」
私は咲耶ちゃんの言葉で初めて気がついた。
もう咲耶ちゃんが来て、一週間が経つんだね。
もうすぐ、お別れか…
さみしいなぁ
「だから、私、バスケで1年白組に勝ったら、七瀬くんに告白しようと思います」
「そっか。いいんじゃない?頑張って!!」
咲耶ちゃんは気の抜けたような顔をしている。
私のリアクションが想像より薄かったからだろうな。
まあいつかは告白すると思っていたし、時が来てしまったとも思っているし。
咲耶ちゃんはカワイイから、裕也にOK貰えると思う。
裕也もまんざらじゃない感じだし。
お似合いだよ?私より全然。
でも、本当はいやだ。
今、倒れ込みたいぐらい、いやだ。
バスケの試合で力を抜くことだって、できるのならしたい。
「じゃあ美桜ちゃん、頑張ってくださいね!!」
こんな笑顔を向けられたらね。
叶えてあげたい、と思わずにいられない。
「咲耶ちゃんも出るんだよ!!一緒に頑張ろう!!」
私は咲耶ちゃんに手を差し伸べる。
「はいっ」
これで私も、少しはナナセの役にたてたかな…?

