初恋のキミへ。


裕也気づいてくれたんだな…
私は意味もなく、裕也が行ってしまったあとも、ずっと手の平を見つめていた。


「七瀬くん、カッコよかったですね…美桜ちゃん?聞いてますか?美桜ちゃん?」

「へっなに?どうしたの!?咲耶ちゃんも怪我しちゃった?」

「ううん違いますよ。七瀬くん、カッコよかったですねって」

「うん、そだね。ちょっと胸がときめいたよ。ちょっとだよちょっと!!…どうしたの?咲耶ちゃん?」

「別になんでもないですよ!!あっほら葵ちゃんたち帰ってきましたよ!!」

「本当だ!!葵~」


どうだった?負けたぁ?
もう体育館暑すぎっ
私たちも校庭が良かった~

などと喋っていても、私の心は違うほうに向いている。


さっき咲耶ちゃん浮かない顔してた。
一瞬だけど
裕也のカッコイイところ見れて、嬉しいはず…
あとで聞いてみよう。

心のなかで自問自答していると、

「美桜~勝ったぞ!!」
と皐月伊吹たちの野球に出てた男子がぞろぞろと帰ってきた。
いつの間にか終わってて、あんまり良く見てなかった。


「えっ?勝ったの!?やったね!!」

「「お前、俺たちのスーパープレイを見てなかったのか!!」」

「ごめんね!!あはっ!!」

笑えば許されると思っとるのか、と皐月と伊吹に頭を小突かれていても、私は、理玖といる裕也のことを目で追っていた。