初恋のキミへ。


≪今日は晴天にも恵まれ、絶好の体育祭日和です。先輩後輩クラスの仲間、みんなが練習した成果を発揮できるよう、みなさん協力して頑張ってください!!≫


カキ―ン!!
バットにボールが当たり、良い金属音が鳴る。

「回れ回れー!!」

≪おおっと、いきなりかっ飛ばしましたね!!この選手は、1年青組あの美形双子の片割れだアア!!≫

放送委員のうるさい実況が聞こえる。
またそんな“双子の片割れ”とか言うと、皐月が怒るぞ~


「伊吹くんカッコイイですねぇ」

「いやあれ、皐月だから」
私は苦笑しながら咲耶ちゃんに言う。

その途端、
「美桜あぶないっ!!」

鋭い声がどこからか聞こえた。

へ?
会場中が息を呑んだ。

私は何が起こったのかわからず、ザッと地面を擦るような音が聞こえた瞬間には、もう裕也が私の前を塞いでいた。


≪先ほどとはうってかわり、1年赤組がバットを振るなか、振り過ぎたバットが青組の1年女子に当たりそうになったアア!!しかぁし!!それを防いだのはぁ、青組期待の星、七瀬裕也アア!!≫


「「「キャーーーー!!」」」

頭が割れそうになるほど、黄色い歓声がそこらじゅうから聞こえた。

そっか…
バットが私に当たりそうなところを、裕也が護ってくれたんだ…


「痛っつ」

甲高い声が聞こえる中、私はその小さい声を聞き逃さなかった。

バットを手で受け止めたときに、擦ったのだろう。
裕也の手の平には擦り傷ができていて、そこから赤い血が出ていた。


「ゆ、裕也…この絆創膏、使っ―――「裕也くん大変!!血が出てるじゃない!!」

私のただでさえ小さい声に上から被せてきたのは、咲耶ちゃんだった。


「七瀬くん消毒するから、ちょっと待って!!」

「いいよ別に。オレ、これもらうからさ」

と裕也は言って、私の手の中にあった絆創膏をすっと取っていってしまった。