「それってさ、裕也のこと好きなんじゃないの?」
裕也のことが、好き…?
誰が…?
私が…?
「好きだから、美桜のなかのななせが消えそうになってるんじゃないの?」
違う…
だって私の好きな人は、ななせだ
これは、永遠にかわることのない想い
「ななせは死んだんだ。死んだ人を好きになっても、仕方ないでしょ?」
違う…
ななせは死んでない。
「もういーじゃん。そろそろ引きどきだよ。」
違う
引きどきって何?
「ねぇ、今、美桜を笑わせられる人を好きになろう。一緒にいられる人と恋に落ちよう。」
違う違う違う
「やめてっ!!」
自分でもびっくりするぐらいの大きい声が出た。
「それ以上、もうなにも言わないで…」
「わかった。でも、これだけは聞いて。世の中は、“ななせ”と“ななせ以外”じゃないんだよ」
私は、自分自身で気づいていたのかも知れない。
だけど、ななせは死んでないと心のどこかでいまだに思っているし、
ななせ以外の人を好きになってはいけないと思っている。
だから、気づかぬふり見ないふり。
逃げてると蔑まれてもいい。
それで幸せになれるのだったら、
私は喜んで逃げましょう。

