+裕也side+



美桜が出て行ってから、なんとも言えない気まずい雰囲気が漂っていた。


「…さっきの誰?」

「わかんないけど、なんか悪いことしちゃったよね。」

と言いながら、理玖はガシガシと頭をかく。


「葵ちゃんに訊けばわかるんじゃない?」


でも、俺には心当たりがある。

もしかしたら…


「葵ちゃん!!」

「もうなによー」

理玖が杜山を連れてきた。



「さっき美桜に、ケータイの写真見せたら、突然泣いて、飛び出ていっちゃったんだけど…」

「…美桜が泣いたの?」

「うん」

「誰の写真見せたかは、たぶんわかった。でも、私からは言えない。でも、これだけは言っとく。美桜は、重い十字架を背負ってる。半端な気持ちで、踏み込まないでほしい。」