「もうダメもう無理もう泳げない!!」
「いいよ、泳がなくて…」
さんざん遊びまわった後に言った台詞。
浜辺に二人揃って、寝転がる。
どちらともなく、二人で顔を見合わせて笑う。
そして、俺らは自然に手を繋いだんだ。
幸せってこんなん?
漠然と感じた小さな幸せ。
もうすぐ壊れるとも知らないで―――
「キャアアアーーーァ!!」
突然聞こえた鋭い叫び声。
なんだなんだと周りの人がその方向を見る。
浜辺で泣き叫んでる女の人の姿を見つけた。
「何があったんですか?」
「子供が、子供が!!海に入って!!そっちは深いからダメって言ったのに!!大丈夫だからって、そしたら急に浩介が消えて!!足がつかなくなって!!きっと溺れたんだわ!!アアアアア!!」
「おい、監視員とか救助できる奴はいないのか!!」
「みんな手払ってる!!」
「だれか、浩介を、浩介を、助けてエエエエ!!!」
女の人が言ってることは支離滅裂だったが、なんとか言わんことしてることは分かった。
お前が行けよ、いやだよお前こそ助けてやったらどうなんだ、など完全に他人任せな空気が回りには立ちこめていた。

