初恋のキミへ。


夏休みが始まる前にあった、七夕。
みんなで、それぞれの願い事を書いた短冊を吊るした。

伊吹の願いは、
『天才になりたい』

葵の願いは、
『認めてもらう』

理玖の願いは、
『罪を償えるように』

皐月の願いは、
『好きな人が幸せになれますように』


美桜は短冊を見せてくれなかった。
だから、こっそり見たんだ。
見たあとに後悔した。


『ナナセの願いが叶いますように』


大月ななせのことなのか、オレのことなのか。
どちらにせよ、美桜はオレと大月ななせを比べるとき、無意識にナナセと呼ぶ。

見上げれば、黒いビロードのような夜空に、キラキラ光る天の川。
織姫と彦星が一年に一度だけ会える、幸せな夜に、すべての願いは叶えられるのだろうか。


『愛する人たちと、ずっと一緒にいれますように』