+裕也side+
7月。高校1年生の夏休み。
セミの鳴き声に、中庭のひまわりの花が揺れている。
青空には、真っ白い入道雲。
「暑くて溶けそう…」
手を前後に振って、風を送る。
寮内のエアコンはすべて、夏休み中は止まっている。
結局体育祭、オレらのクラスは、全体優勝こそ逃したものの、学年優勝とクラス優勝を果たした。
「もうやばい~」
美桜は扇風機の前にへばりついて離れない。
体育祭後の定期テストも、オレはもちろんのこと、美桜も無事に赤点無しで終えることができた。
後夜祭で告白して以来、オレと美桜は付き合っている。
だが、手を繋いだり、キスしたり、恋人らしいことは何もしていない。
まあデートは何回か行ったことあるけど…
なぜか。
それは、美桜が、オレと大月ななせを重ねて見ているときがあるからだ。
ふいに美桜は、オレのことを、慈愛に満ちた目というか優しい目というか、決してオレを見てるようには見えないときがある。

