「あ、そうだ」
と蒼空が少し嬉しそうな声で言う。
「先輩がコウに名前教えとけって」
「先輩くんね。この名前
気に入らなかったんだな」
くすくすと蒼空がわらう。
「安田蓮っていうの。覚えてね」
さっきまで辛そうな顔してたのに
いっきに嬉しそうな顔になった。
そうか、俺以外の男に
心を許してるんだな。
「れん、か。いい名前だな」
蒼空、もしお前が蓮の所に行けば
もう辛い思いしなくていいんじゃないの?
俺も蒼空と離れたくない。
でも傷ついて帰ってくる蒼空を
見るのは辛いんだ。
最近、蒼空を守れるか不安な
俺がいるんだ。
