父さんと母さんが別の部屋で
これから蒼空をどうするかで
口論していた頃、俺はなんか
恥ずかしくて蒼空と喋れなかった。



(たかが小6相手に何してんだ俺…)



「何で今更見つけたんだろうね」


蒼空は父さん達が口論している
部屋を見つめながら言った。



「別に今更お父さんとも思わない」




蒼空は孤児院で住んでいた。


でも父さんが蒼空を見つけてから
無理矢理連れ戻したから蒼空は
どこにも行くところがない。


この家だって全員が歓迎している
訳じゃない。



蒼空はここに住むことを拒否
しているようにも思える。



蒼空の帰る場所がない。



「…蒼空…」

「はい?」

「俺と一緒に住まないか?」




蒼空はきょとんとしていた。