「暴力、ふるわれてんの?」










「…」

「蒼空は俺のこと信用できない?」




私は顔をあげた。

先輩は少し笑っていた。



「コウさんに、俺の名前教えといて」



そう言うと先輩は早めに歩き出した。




何も答えれない。


先輩がただの先輩なら
言えたのかも知れない。


暴力ふるわれてるんです



その事だけでも言えたかも
知れない。




でも先輩はただの先輩じゃない。




先輩はもう、私の心の中に
いる人だから。


私、弱いから
先輩に
軽蔑されるのも
嫌われるのも
嫌なんだ。