午後の授業が始まっても、泣きそうな気分のまま――― 「里中、この問題を解いてみろ。」 ・・・ふえ? ただでさえキライな算数の授業で、まるで聞いてなかった私にはさっぱりの問題を当てられた。 立ち上がってはみたものの、頭の中はますます真っ白になって行くだけで・・・。 かさっ・・・ 小さな紙の音に視線を落とすと、羽柴クンがノートの切れ端をヒラヒラさせていた。 そこに書かれていたのは・・・ 「X=5・・・・?」 「正解だ。座っていいぞ。」 先生の言葉にほっとして腰を下ろす。