「よっ…と」
彼は数分すると海から板を持って出て来た。
私といえば、その数分の間
波に乗る彼を写真で撮りたい衝動を
必死に押し殺して
ただただ黙って見てただけ。
やっぱり生で見たら
凄いんだね。
テレビの中の人なんか
比べ物にならないぐらい
カッコ良かった。
「おーい。」
「はっ‼」
あ、危ない…
ついボーっとしてしまってた…
「何、ボーっとしてんの(笑)」
「いや‼ち、違くて…///」
「うん?違うの?」
彼がそう言って
私の顔を覗き込んで来るから
「あっ‼私、もう戻らないとっ‼じゃじゃあ、ありがとうございましたっ‼」
とバレバレな嘘をついて
走った。