そこにいたのは
――女の人と歩く祐也だったから
「――…ぇ?」
…なんで?
今日本当は私に勉強教えてくれるんじゃなかったの?
『用事』って女の人とデートすること?
分かんない…祐也がわかんないよ…
「…あ。」
涙でにじむ私の隣でようやく気づいたように声を上げる隆弘くん
でも笑顔でごまかす余裕なんてもう私には残ってなかった
祐也と女の人がお店のレジへ向かう前に私は勢いよく走り出した――
「桜っ――」
隆弘くんが慌ててるのはわかってる
でも頭の中は祐也でいっぱいだった
…なんで?
なんでなの?私との約束よりあの女の人が大切だった?
だめだ…
結局私嫉妬してるだけじゃん

