いつもならザワザワとしている校内が今日はやけ静かだ。
そう、今日は体育祭当日。
グラウンドには朝早くから父兄がテントの下に集まり、座っていた。
憂はそれよりも前に学校に来て、準備をしている。
蓮と。
「蓮くんの家族くる?」
「来ない」
「そっか」
朝が弱いのか、低血圧なのか、蓮は少し機嫌悪そうだ。
体育祭で使う道具の最終チェックをしながら横目でツラッと見る。
(眠そう‥でも、なんか可愛い。 あ、髪ハネてる)
「蓮くん、ここハネてるよ」
ハネてるところを直してあげようと思ったが、届かなかった‥。
「ん、どこ?」
蓮は憂が届くように少しかがんで目をつむった。
