ほっと一息する時に【短編集】



でも、不思議と涙は出なかった。



むしろ―――…




「あぁ…花……桜を集めてたの……?」




「うん……直が…私に取って来てって……」




「直……最後にお姉ちゃん、ありがとうって言ってたよ……良い笑顔しちゃって……この子ったら……」




―――どうして私と会う前に行っちゃったの?



―――どうして私に桜なんて拾わせたの?




そんなことなら……そんなことが分かってたら…もっと直の傍にいたのに……桜なんて取りに行かなかったのに……





疑問ばかりが溢れ出て、私は涙を流すことなんて忘れていた。


私の心を支配していたのは……どうして?という疑問ばかり―――