ほっと一息する時に【短編集】



「...何か、言えよ...」




そうだ。私はあまりに言葉を飲み込みすぎた。
言わなければ伝わらない。


だけど。

言ってしまったら。



「ハルトは私を嫌いになる...」




だから。醜い自分を隠して。
気づかれないよう、バレないようにしてきたのに。

傷つけてしまわないよう、嫌われないよう、少しでも長く居れるようにと努力してきたのに。


そんな顔で見つめられたら。
そんな声でお願いされたら。




「......ハルトは、モテるよ」



「は?」




私は正面に居るハルトのお腹に頭をもたげる。