先輩と、ふたりぼっち


「茜!!」







聞き慣れた、高めの声。






「…、梨花?」


「バカ!!なんでこんなとこにいんの!心配したんだから」



泣き疲れてぐったりした私を、梨花はギュッと抱き締めた。

あれ、梨花ってこんなに、優しかったっけ。




「ね、梨花…。塾は?」

「早退した」

「えっ…?」

「だって、茜、授業始まっても戻ってこないんだもん!だから、心配で…。熱あるって言って、早退してきた」

「そん、な…」



泣かせないでよ、梨花。

明日、鏡を見るのが怖い。




「…落ち着いたらでいいから、なにがあったか、聞かせてね?」

「…っ、うんっ」