「茜ちゃんはさ。

ハルが藤原梨花ちゃんのこと、好きなんじゃないかって思ってるでしょ?」


「――はい」


「俺もそうだと思ってたんだよ。
なにかと仲良いし、同じバスケ部だしさ」


やっぱり、そうだ。
仲がいいんだ、あの二人は。


「で、茜ちゃんと俺が初めて会った日あったでしょ?
俺、その日に聞いてみたんだ。
“ハルは、梨花ちゃんのことが好きなの?”って」


…佐々原先輩、そんなこと聞いてたんだ。



「そしたら、なんて言ったと思う?
“そんなわけないだろ”って、超怖い顔で言ったんだよ?
俺もう、びっくりしてさ」



――今井先輩の、“超怖い顔”って。

“そんなわけないだろ”って。


先輩、そんなこと言う人だったっけ。



「俺、ハルとは結構仲良いし、長い間近くにいたつもりだけど、あんなに怖い顔、今まで見たことなかった」



親友の佐々原先輩までもが、見たこともない顔って…



先輩、一体どうしたんだろう。