「茜ちゃんー!」
「…っ!?」
いつもより早めに塾に着いて、一人で勉強をしていた。
丸付けを始めようと、解答を開こうとした丁度そのときに。
「あ、俺のこと、覚えてる?」
「もちろんですよ、佐々原先輩」
明るい声とともに空気を連れて、佐々原先輩が教室に入ってきた。
相変わらず元気だなぁ、先輩。
「覚えててくれたんだーよかった!」
「そんなすぐ、忘れませんよ」
「えー?
…だって茜ちゃん、ハルのことばっかり見てるんだもん」
「――…っ!」
ちょっと待ってください、先輩。
今、なんとおっしゃいましたか?
「ハルはハルで、茜ちゃんの話ばっかりしてるし」
…えっ?