“自分でやります” 言うべきだったのに、口にできなかった。 びっくりして、固まってしまった。 何も、できなかった。 ただただ 胸の鼓動の音を、聞くだけだった。 「……っ、」 「…あんまり濡れると、風邪引く」 少しぶっきらぼうに言って、青いハンカチをポケットにしまった。 「…あの、ありがとうございます」 「いや」 ―やっぱり先輩は、優しかった。 ダメだ、私。 このままだと、先輩に溺れてしまって… 最終的には。 …もう、引き返せなくなる。