あと…
あと、もう少しで塾に着いてしまう。
――そんなときだった。
私の携帯が、メールの着信を伝えた。
ポケットの中から響くオルゴール音。
当然、前を歩く先輩にも、聞こえてしまった。
「―高橋?」
驚いたように振り返った先輩が、足を止めてこちらを見つめる。
「あっ…今井先輩…」
気付いていなかったフリをして。
胸が跳ねて苦しいのを、必死で隠す。
タイミングがいいというのか、悪いというのか。
一体誰からのメールだろうと思いながらも、
今はそんな場合じゃない。
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