雨の多い6月。

今日も、静かな雨が降っていて、夜になっても止むことはなかった。




傘をさして前をじっと見つめながら、歩くスピードを緩める。




―いる。

先輩(本当にそうかは確信が持てないが)が、いるのだ。

私の歩く、少し先を。





前回話したときから、もう3週間は経っていた。

その間、ずっと話したいと思っていた。

…でも、梨花がいる。
梨花よりも先輩に近づくことは、できない。





話しかけようか



気付かぬふりをしようか





つい15分前から、そんな自分自身との相談を繰り返している。