「じゃあ、ハルの答え見させてもらうからー。
茜ちゃん、バイバイ!」
そう言って、佐々原先輩は教室に戻っていった。
「あれでも、一応俺の親友なんだ。
仲良くしてやってね」
ため息混じりに、今井先輩は言った。
呆れ顔もかっこいいなって、思った。
「いろいろ邪魔が入って、ごめんね」
「そんなことないです。
佐々原先輩、面白い方ですね」
私が言うと、ふわりと笑って、
「けっこういいやつなんだよ」
優しく言った。
*
先輩の周りは、優しい人ばかりなんだろうなと思った。
だって、先輩の笑顔は優しいから。
それに引き寄せられて、みんなが優しい人になるんだろうなと思った。
でも、同時に悲しくなった。
その笑顔を、梨花にも見せているのかと思うと、辛かった。