「そうだ。 名前…聞いてもいい?」 「…高橋 茜です」 「俺は…――」 ―ガチャッ 「あれ?今井先輩?」 …振り返らなくてもわかる。 何度もこの声に悩まされてきた。 長い髪の女の子。 右手にはピンクの携帯電話。 笑顔がよく似合う、可愛い子。 「先輩、まさかナンパしてたんですか?」 「は?そんなんじゃないから」 「またまたぁー、顔赤いじゃないですか!」 …違う。 私と話してたから顔が赤いんじゃない。 ―梨花が来たから。