「――茜」 「先輩」 「……うん」 「私、先輩に言わなきゃいけないことがあります」 「…」 「まずは、ごめんなさい。わがままで、ごめんなさい」 「…茜」 「気付かなくて、ごめんなさい。先輩を傷つけて、ごめんなさい」 「茜」 「いろいろと、ごめんなさい」 「違う」 「――え…っ!」 先輩が私を、抱きしめた。 二度目だけれど、全然慣れない。 少し痛いほどに私を抱きしめる先輩から、悲痛な叫びが聞こえてくるようだった。