[完]大人の恋の始め方






「面白くない…?」



優里花さんは頷くと、近くにあったミニ丈のドレスをあたしにかざして、鏡に写す。



「ほら。確かに似合ってるし、ドレスに引きを取らない。でも、無難に合わせてきたなって感じがしてしまわない?」




確かに、言われてみれば、そんな感じもする。



「それに、杏里ちゃんって大人びた感じだから、普段は大人っぽい服装をしているんじゃない?」



「えっ?!凄い!!よく分かりますねっ」



その通り。
あたしは、同級生よりも大人っぽい服装をすることが多い。



「やっぱり姉貴は、すげぇな」


これには優斗さんも感心したようだ。



「だから、今回はあえて、白にしようと思うの」


「白…ですか?」



そう言って出されたのは、
白いフワフワとしたドレスで、胸元が開いたV字型で、ハイウエストになっている。


そのハイウエストの部分には、大きな赤いリボンがアクセントで着いている。


膝上15cmくらいのそのドレスは、見た感じは、かなり可愛かった。



…でも。



「あたしに似合いますかね…?」



そんなラブリーな服など、挑戦したこともないのに。



七五三の時ですら、あたしは真っ赤な大人っぽいドレスを着ていた。