あれから、何だかんだプリント配りとかで忙しくて、大翔先生とは話さなかった。


正直、ホッとしている。


「杏里ィ~!放課後、ヒロ先生んとこ行こうよっ」



満面の笑みを浮かべる友美に、いつもならOKしてしまう。


だけど、こればかりは、嫌っ!!


なんで嫌なのか。
それは、まだ言いたくない。


友美も知らない、あたしの秘密だ。


「ゴメン~!!今日、このあと用事あるんだ」


「え!用事?」



いつも暇人のあたしだから、友美は、かなり驚いている。



「うん。優斗さんに、早く帰ってこいって言われてるし」


あたしの言葉に、友美の顔が一転、にやけ顔になる。



「へー♪デート??」


「ないないっ♪ただのお呼ばれパーティーだし」


あたしがそう言えば、友美は疑うような目で見てくる。


「んまっ。明日詳しく聞くわ」


「何もないっての!」


あったら、むしろ気まずいし。


同じとこに住んでるんだから。


とりあえず、あたしはかばんを持って、教室を出ようとした。


しかし、振り返った瞬間に、誰かにぶつかった。



「あっ、ゴメンね。……あ」



あたしは、つぶってしまった片目を開いて、相手を確認する。