呆れたような口調のありすちゃんを、あたしはただ見つめる。
どうしよう?
今凄く中島蓮を殴りたい。
けど、それはさすがにマズイし…。
「杏里?どうしたの?」
ありすちゃんが、あたしの顔を覗き込む。
そして大きな瞳が、あたしを捕らえる。
それは、心を見透かすかのようだ。
「何か悩んでるでしょ?
もしかして、蓮さんのこと好きだった?」
「誰があんな最低男のことなんかっ」
ありすちゃんの言葉に、食い気味に反応して、途中で言葉を止めた。
やばい。
つい感情的になっちゃった。
するとありすちゃんは、顔をぐいっと近付けた。
「なに隠してるの?教えて?
最低男エピソード」
もうあたしが何か隠していることは、核心しているらしい。
まぁ、相談くらいなら、いいよね?
「実は…」
「えぇ?!じゃあ何?!杏里の友達が、二股の相手ってこと?
しかも………中絶してるなんて」
一通り話すと、ありすちゃんは顔を歪めた。
「だから、あたしは中島蓮くんが許せなくて…」
「そうだよね。ほんと最低」
と言いながら、あたしの口に何かを入れる。
「んっ、何?………チョコ?」
口に広がったのは、チョコの甘さだった。
「ムカつくし、最低だけどねー。
今はそれで抑えないと、仕事に響くよ?」
「うん…」
頭では分かっているのだが。
「撮影終わったら、また聞くし!」
ね?っと、軽く頭を撫でてありすちゃんは、部屋を出て行った。

