[完]大人の恋の始め方




整理出来ないでいると、ありすちゃん否、空くん否…綺麗なお姉さんに見えるニューハーフが、くすりと微笑む。



「あーあ。言わなきゃわかんないのにね?」



わっかりませんよ!!



分かるはずもない。



「あれ?でもテレビとか…」



「まぁ、ありすのトップシークレットだよね」



ちょっとお茶目に笑うありすちゃんは、やっぱり可愛い。



「でも、杏里ちゃん、引いたよね…?」




お茶目な笑顔から一転、しょんぼりと悲しそうな笑みを見せる。



引く…?



あたしの中で、もう一度考えてみる。



確かに、驚きはした。



でも、だから?



どんな気持ちを持つのも、どんな表現をするのも、それは自由。



ありすちゃんが可愛いことに、変わりもない。



あたしが憧れる、ありすちゃんは、ありすちゃんだ。



「全然、引いてないです!
やっぱりありすちゃんは、あたしの大好きなありすちゃんです」




ニッコリと微笑むと、ありすちゃんはあたしに抱き着く。



「ありがとー!
杏里ちゃん、凄くいい子!!!

もう、大好きー!!!」



あわわっと、よろめきながらも、ありすちゃんを抱き留める。



「あたしもです!」




そう言った瞬間…





「誰のことが大好きだって?」



あたしの腕を引っ張り、強引にあたしを引き寄せる。



そんなことするのは、一人しかいない。



「ありすちゃんだけど…」



そう口にすると



「ふーん。んなら、お前が誰を好きなのか、分からせてやるよ」




えっ?!


驚いたときには、時遅し。



唇が奪われた。