全身で拒否していると、中島蓮くんが、肩に手を置いた。
「まーまー。やってみないと、わかんないしね?」
「いや、分かりますって!!あたし、演技なんてしたことないし!!!」
出来るはずない!!
それに、ここに入った理由は…
テレビに出ないため。
「杏里ちゃん、これはテレビじゃなくて、映画だから!」
呑気な優里花さんに、落胆するあたし。
一緒だよー…。
むしろレベル高いよぉー…。
結局この日、あたしは拒否することも出来ず、家に帰った。
着くと、既に優斗さんが帰ってきているのか、鍵が開いていた。
のそのそと重い足でリビングに向かい
ドアを開けた。
「え?」
……………。
「えーーーーーーーーーーーーー?!?!?!」
目の前には、あの
ありすちゃん
の姿。
持っていた鞄を落とし、口を押さえる。
どういうこと!?
なんで家にありすちゃんが!!!
「あ、杏里!!誤解するなよ!!
これはっ」
「かっわいー!!!ありすちゃん、握手してくださーい!!!」
気づけばあたしは、手を出してありすちゃんに向かっていた。
「え、握手?」
可愛らしいトーンの高い声に、惚れ惚れする。

