暫くして、なんとか涙が止まる。
まだ頬や目が熱くて、息も苦しい。
ヒクヒクする呼吸をしつつ、優斗さんからゆっくり顔を離す。
すると、目の前には涙が滲んだシャツが映る。
「あっ、優斗さん、ゴメンなさい」
「何が?」
コテッと首を傾げる優斗さんに、ドキッとしながらシャツを指差す。
こういう日に限って、高級なスーツを着てる。
「シャツ。シミになったらどうしよう?!」
そう言うと、優斗さんはため息をつき、あたしを見る。
「あーあ。これ結構高かったのになー?」
「ごっごめんなさいっ」
「やだ」
やだ?!
即答でやだ?!
パニックになりつつ、もう一度優斗さんに謝る。
「あのっ、ほんとごめんなさい!家に帰ったらすぐ綺麗にッッ」
「やだ。そんなんじゃ許さない」
グンッと近づく彼の顔にドギマギしながらも、焦る。
どうしよう?!
許して貰わないと…別れるとか言われちゃうのかな?!
またうっすらと涙が張ったとき、彼はニヤリと笑った。
それを目にした瞬間、背筋がゾクリとする。
「そうだなぁ?なら…
杏里からの大人のキスで、許してやるよ?」
唇をペろりと舐める姿は、妖艶過ぎて、あたしの顔を赤く染める。

