[完]大人の恋の始め方





「うん。ちょっと前くらいから。」



すると彼は、乗ってきたのであろう、彼の黒い車に、あたしを乗せた。



「優斗さん?」



運転席に座った彼を見る。



車内はちょっと暗くて、あの日を思い出させる。



あの日は、あんなに怖かったのに…。



今は愛しい気持ちでいっぱいだ。



「ちょっと、ドライブしようか」



彼の顔はよく見えなかったけど、声が優しかった。



「うん」



あたしの返事と同時に動く車。



移動中、車内は沈黙に包まれた。



だけど、決して居心地が悪いわけじゃなくて。



暫くすると、海の近くまで来た。



海と言っても、砂浜とかじゃなくて、工場とかがある夜景スポット。



そこは、独特の空気感があった。



車を降り、二人並んでその景色を見る。



温かい光は、あたしの心を明るくしてくれる。



「昔から、夜景は好きだった」



急に優斗さんが口を開く。



彼が夜景だけを見ながら話すから、あたしも夜景だけを見る。


「特にここの夜景は、光が温かくて、すごく好きな夜景スポットだ」



声だけでわかる。



たぶん優斗さんは今、優しい笑みを浮かべている。



「あたしも、ここの光は温かいって感じた」