「てめぇ、殺されてぇの?」
ドスの効いたその声。
それは明らかに優斗さんのもので。
「は。誘惑してきたのは、そっちだろッ。なんで俺らがッッ」
男が反論している途中、優斗さんは、その人の髪の毛を掴んだ。
「誰が誘惑したって?
俺の女が、お前らみたいなレベルの低い男に、ときめくとでも思ったのか?
だとしたら、とんだ恥ずかしい勘違いだな?」
あたしからは、背中しか見えないけど、たぶん優斗さんは、今笑ってるだろう。
だって、あの時も、優斗さんは笑っていたから。
中学のとき。
やけ酒して、不良に絡まれたときに助けてくれたヒト。
あの時は怖かったけど、ずっと感謝してた。
でもまさか、こんなふうに再会できるなんて、思わなかった。
「おい。殺されたくなかったら、とっとと失せろ。目障りだ」
優斗さんが、髪の毛を離すと、男たちは、急いで逃げて行った。
男たちの姿が見えなくなると、ホッとしたのか、脱力する。
そんなあたしを見兼ねて、優斗さんはあたしを、抱き上げた。
…………って、ここここれはっ!!!
世に知られる、
[お姫様だっこ]ってやつですか~!!!???///

