「杏里?」
心配そうな、その声で我に帰る。
「うっ…あのっ…」
顔をあげて、優斗さんを見ると、彼はおでこ通しを合わせた。
ビクッと身体が反応すると、あたしの右手に、そっと彼の左手が重ねられた。
ある意味、キスより羞恥心が湧き出る。
「落ち着いた?」
おでこを合わせたまま、優しい彼の言葉に、あたしは茹だってしまう。
「うっうん///」
「なんもされてない?」
………なんもって、ことはないよね?
胸とか触られたし…。
「ごめんなさい…。あたし、ちょっと汚れ物かも……」
シュンとして、そう呟く。
すると、彼はため息をつき、立ち上がる。
優斗さん…?
やっぱり汚れ物のあたしは、もういらない?
そう不安に思っていると、くしゃくしゃっと、頭を撫でられる。
嬉しくて、そこを押さえながら、優斗さんに笑顔を見せる。
すると、彼も同じように、笑顔を一瞬見せ、そして
背中をあたしに向けた。

