[完]大人の恋の始め方





やっぱり嫌ッッ



こんな人達に、あたしの"全て"を知られたくない!!



あたしは、必死の思いで拒んだ。



足をバタバタと動かし、手も奴らを殴る。



もう、会社がどうこうなんて言ってられなかった。




ただ、自分を守るのに必死で。



その必死に動かした足が、片方の男の頭にクリーンヒットしてしまうまでは。




「イッテ!!!」



ゴンと鈍い音が聞こえ、男が座り込む。



……やっちゃった~!!!




怒る奴らを見て、あたしは自分の顔が青ざめるのを感じた。




マズイ……。



本気でマズイ……。



「おい、モデル界の新プリンセスさんよぉ、ファンに暴行って記者に流したら、どうなんの?」



「……え」



ちょっ……嘘でしょ?!



「そうだな。松本杏里、ファンを蹴り飛ばすって見出しの記事が出来んのかな?」



「何よ、それ!それは、あなたたちが、無理に襲おうとするからッッ」



「分かってないなぁ、杏里ちゃん。メディアは、面白ければいい世界なんだよ」



ニヤリと笑うその唇に、背筋が凍る。



なに、コイツ。



ベンチに押し倒されたまま、コイツはさらにあたしに、グイっと顔を近付けた。



「まぁ、素直にヤらせれば、話は別だけどねっ?」



怖い…。


自分のせいで会社が、イメージダウンすることも、自分が犯されることも。



「さて、じゃあ、楽しもうか?だって、杏里ちゃんには、それしかないもんね?」



そう言って、男たちがまた太ももに手を滑らせた。