[完]大人の恋の始め方





優斗さんは目を見開き、そのあと、安堵したように息を吐いた。



「どうして、そう思ったんだ?」



「ため息。
あたしと話してたとき、してたから」




すると、優斗さんは ははは っと、力無く笑った。



「どうだ?杏里ちゃんは、まだまだ若いんだよ」




だから話してやらないとイケナイと、楽さんが優斗さんに念を押す。



「分かったよ。杏里、帰るぞ」



「えっ?」



優斗さんは、有無を言わさず、ズカズカと出ていく。



あたしは、必死に楽さんに頭を下げ、優斗さんと帰った。



ホテルに着くと、ドアのすぐ横で深く口づけされる。



「んっ!」



いくらか荒いそれは、あたしの頭をマヒさせる。



何度も角度を変え、互いを確かめ合う。



「まっ・・・さと・・さっ・・///」



倒れそうになったあたしを、悠々と片腕で抱き留め、そっと唇を離す。



銀色の糸が、二人の間に伸びる。



かぁぁぁっと、あたしの体温が上昇するのを、彼は楽しそうに見つめる。



恥ずかしい。



こんなに、優斗さんに溺れていることを、本人に知られていくことが。




「さてと、お話ししようか?」



ふっと口角を上げ、あたしをソファーへと誘導する。



「座って」



高級なそれに、ゆっくりと座る。



と、優斗さんはあたしに覆い被さった。




えっ?と、思考が働かないうちに、首筋に優斗さんの唇が這う。