「優斗さんのバカッッ」
あたしは力ずくで優斗さんから離れた。
「は?!オイ、待てよ」
だけど、優斗さんにはすぐに捕まって。
なんで・・・?
なんでため息なんてついたの?
やっぱり、あたしは面倒なの?
そんなに、奈緒さんのこと、聞かれたくなかった?
過去を知ってはいけなかった?
あたしの中で、沢山の疑問が渦巻く。
「杏里、急にどうしたんだよ?」
ダメだ・・・。
今のあたし、冷静じゃ居られない!!
あたしは優斗さんを、思いっきりひっぱたき、部屋を飛び出た。
そして、携帯を取り出し、履歴から、ある人に電話をした。
「あ、もしもし?今から行ってもいいですか?」
・・・・―――――――
「うわっ、想像以上におっきい―・・・」
建物の大きさに戸惑いながらも、なんとか足を踏み入れた。
そして、接客係のところまで向かう。
すると、日本語と書かれている札を見付けた。
もしかして、日本語わかる人・・・?
「あの~・・・」
そう口にすると、接客係はにこりと笑った。
「コンニチワ。ゴヨウケン ワ ナンデスカ?」
片言だけど、通じるらしい。
ちょっと安心。
「あの、社長・・・
楽さんをお願いします。」

