[完]大人の恋の始め方





「正直、不安になりました...」



そう言えば、奈緒さんは不思議そうな顔をした。



「どうして?」



「どうしてって...奈緒さんほど、あたしは愛して貰えてるのかなって」




そう呟くと、奈緒さんは急に笑い出した。



分からなくて、首を傾げる。



「あ~ごめんね。でも可笑しくてっ」




「なんでですか?」



そう尋ねれば、奈緒さんは帰り支度を始めた。



えっ?と、戸惑っているうちに奈緒さんは、準備が整ってしまう。



「あなたが不安になる理由が、あたしには分からないわっ。とりあえず、私の話したいことは伝えたし。帰るね?またお話しましょう?」



そう言うと、伝票を持って会計に向かってしまう。



「えっ?!ちょっとっ」



あたしは椅子から立ち上がり、奈緒さんを追い掛けようとした。




と、そのとき。



「優斗...さん?」



目に映ったのは、奈緒さんと優斗さんが仲良く話している姿。



奈緒さんの、嘘つき...。



そんな場面見て、誰が不安にならないんですか?



それとも、まだあたしが子供なんですか?




優斗さんはあたしの視線に気付くと、奈緒さんと別れて、こちらに向かってきた。



「杏里」



優しい彼の口調は、あたしの不安を更に掻き立てた。


どんなに優しくても、もしかしたら裏があるんじゃないかって。