[完]大人の恋の始め方





私は、どちらとも縁を切らなければイケナイ。


そう感じた。


奈緒にとって、楽も優斗も掛け替えのない存在で。


自分のせいで壊してしまうのが、許せなかった。



結果、奈緒はアンビバレンツな言葉を口にした。



もちろん、そのあと3人は会うことどころか、連絡すら取らなくなった。



そうしているうちに、
楽はフランスで会社を立ち上げ、
優斗は夢だったヘアーメイクリストになり、
奈緒は秘書として、
それぞれの道を歩み出した。



「・・・ってわけ。だから、この間楽に話し掛けられたときは、どうしようかと思った」



今まで聞いたことを、必死に頭のなかで整理する。



と、ここでひとつの疑問が、頭を過ぎった。



「あの...じゃあ優斗さん達は、今でも誤解をしているんじゃ...」



だって、楽さんも優斗さんも、奈緒さんの名前が出た瞬間、顔を引き攣らせるから...。



「ふふ。それは、つい先日解いたのよ。そしたらね、楽からちょっと話を聞いてね。」



彼女は一呼吸置くためか、カプチーノに口をつけた。


でも、先が気になって、あたしは急かすように、ズイっと前に乗り出した。



そんなあたしの姿に、嫌な顔ひとつせず、奈緒さんは再び話し出した。